IPSJ-ONEとは、情報処理学会の各研究会から推薦された選りすぐりの『若手トップ研究者たち』が、自身の最先端の研究を弾丸トークで紹介するイベントです。登壇する研究者たちの専門分野は、アルゴリズムや通信などの基礎分野から、音楽やゲームなどのエンターテイメント、AI、IoT、量子コンピュータなどの最新テクノロジー、さらには生物学や歴史学などの異分野との融合研究まで、多岐にわたります。
特に昨今は、AIが情報科学の一大分野として急速に発展し、あらゆるビジネス、そして社会全体に大きな変化が訪れています。そのような変革の世の中で、新しい流れを生み出す情報科学の研究と研究者たちが一堂に会する「場」を創ることにより、異分野交流による新たなコラボレーションや、中学・高校・大学生が研究者を目指すきっかけが生まれるような、魅力的かつ刺激的なステージをお届けします!
人々にセキュリティを意識してもらうため、研究者はこれまでに数多くのセキュリティが学べるゲームを作ってきました。しかし、面白さと教育効果を両立するゲームの開発は難しいです。どうすればそのようなゲームが作れるのか?そもそも、「面白い」ゲームって、何?夢中になって遊んで、気が付くとセキュリティの知識もついていた!そんなゲームを作るための研究の一端をお話します。
普段使っているアプリやソフトウェアが、どれくらいの期間使用できると思いますか?アップデートを重ねて長年進化を続けるソフトウェアの背後には、バグを防ぎ、長く運用するためのプログラミングのルールが存在します。しかし、開発の現場では「守られないルール」や「暗黙のルール」があり、プログラマたちは限られた時間の中でそれらを妥協しながら開発を進めています。最近はソフトウェア開発の完全自動化が注目されていますが、未来のソフトウェア開発でもルールの優先順位が大切です。この講演では、私がこれまで取り組んできた研究成果の中から、膨大なソフトウェア開発のデータから浮かび上がるルールを紹介し、超長寿命ソフトウェアの秘密や未来の可能性についてお話しします。さぁ、一緒に未来のソフトウェアを創造しませんか?
複数の小型な無線チップから成り、形状・機能が自在に変化するコンピュータの研究開発を進めています。それぞれのチップの配置や種類を変更することで、コンピュータ全体の形状や機能を変化させることができます。これまでのコンピュータは固いパッケージと基板によってできており、その機能は固定的でした。提案する柔軟なコンピュータにより、身の回りの様々なものに計算やセンシングの機能を持たせることができます。また、形状の変化を積極的に活用した新たなアプリケーションについても探求しています。本講演では、これまでに開発したプロトタイプや今後の展望について紹介します。
人間の身体をつくるひとつひとつの細胞には、膨大な遺伝子情報がたった4種類の文字(DNA)の組み合わせによって書き込まれています。このゲノムと呼ばれる配列には、実際に細胞を形作るタンパク質をコードする領域はたったの1%しかなく、それ以外の領域はタンパク質の発現タイミングの制御などに関わっています。エピゲノムはそのうちの一つで、DNA上に目印となる修飾が付加されると発現のオン・オフが切り替わり、同じゲノム配列からでも膨大な数の遺伝子発現パターンを生み出すことができます。最新の人工知能技術と大規模なエピゲノム計測技術を組み合わせることで、遺伝子発現のスイッチとなる隠された配列モチーフを発見することができました。しかし、果たしてゲノム配列だけからエピゲノムは完全に予測できるのでしょうか?遺伝的に同一なゲノムをもつ一卵性の動物の兄弟でエピゲノムを比べてみると、驚くべき違いが見えてきました。
AIの自動対話技術が発展し、自然な返答が可能になっていますが、日常的に雑談相手として利用する人はまだ少ないのではないでしょうか?これは、現在のAIの返答が少し生真面目すぎて、特に目的がないときに話しかけたいと感じにくいからだと考えています。私はAIが会話中にボケやツッコミを行えるようにし、人がAIとの対話にユーモアを感じられるようにする試みを行ってきました。本講演では、この事例をもとに、ユーモアを通じて未来のAIが人々とどのように繋がりを深め、日常生活のパートナーとしての可能性を広げていくのか紹介します。
コンピュータグラフィックスにおいて煙や炎、水などの流体は、物理シミュレーションを用いることでリアルな映像を作成できますが、思い通りの映像を作り出すことは難しく、多くの経験と時間を要します。これまで我々は、流体の流れをガイドしたり、コピー&ペーストで編集したりすることで、思い通りの流体映像を簡単に作成するための手法を提案してきました。本講演では、これら我々が提案してきた、流体の流れを簡単にデザインできる技術をご紹介します。
ChatGPTをはじめとする大規模言語モデルは、急速に社会に浸透しており、ビッグテック以外のさまざまな組織もその構築に取り組んでいます。一方で、大規模言語モデルの基盤となる事前学習モデルの構築には、膨大な計算資源が必要であるため、その知見はまだ十分に蓄積されていません。計算資源の膨大さは、金銭的なコストの高さをも意味し、繰り返し試行錯誤を行うことが容易ではありません。本講演では、学習の失敗を防ぎつつ、いかに高品質な事前学習モデルを構築するかについてのアプローチを紹介します。
世の中に存在する膨大な楽曲の中には、まだ聴いたことがないけれど自分の好みに合う楽曲がたくさん存在しますが、自力で見つけ出すのは容易ではありません。私はこれまでに、様々な観点からまだ見ぬ好みの楽曲との出会いを可能にするために、楽曲の探索・推薦技術の研究開発を通じて、複数のWebサービスを実現してきました。本講演ではその中から、大規模歌詞データから自動抽出したトピックを活用した歌詞探索ツール「Lyric Jumper」、互いの好きな楽曲が平等に選ばれる推薦技術に基づいて同じ楽曲を一緒に聴ける音楽発掘カフェ「Kiite Cafe」、音楽推薦モデルの内部状態の可視化によりマップ上で好みの楽曲を共有できる音楽発掘サービス「Kiite World」を紹介します。
日用品、ガジェット、植物などの人工物から自然物まで、身近な対象でも少しだけ手を加えることで意外な機能を、連想力を働かせることで腑に落ちる転用を見つけることができます。このような対象の“別の在り方”をより良い形で見せるためのメディア技術、さりげない制御や設計の工夫を日々考えています。本講演では、対象の“別の在り方”を作る・見せるメディア技術の具体的な事例や、このような技術が“便利”とは少し異なりますが、受け手に“よく知っているようで思いがけない、見慣れないけどありうるかもしれない”を残し、再発見の驚きや楽しさと自律的な思考を駆動する可能性について紹介します。
クラスやサークル、職場等の問題を解決するために、話し合いをすることがあると思います。話し合いのときに、自分の意見を無視された経験はありませんか?あるいは、話し合いをまとめるときに、影響力のある人の意見や、多数派の意見だけを重視したことはありませんか?多くの人の意見を聞き、それを話し合いに反映させるのは、実は難しいことです。そこで私たちは、AIの力を借りた解決法を考えました。私たちが開発を進めているAIアプリ「Illumidea」は、AIにより人々の意見を自動分類します。似た意見をまとめ、見出しを付けて整理することで、意見の全体像の把握を助け、大事な意見が見逃されるのを防ぎます。本講演では、Illumideaの仕組みや、学校での利用事例について紹介します。
災害リスクを「見える化」したもので、あなたは最初に何を思い浮かべますか?ハザードマップ?でも、それって本当に“あなたの災害リスク”ですか?これまで、同じ地域に住む人の災害リスクは、みんな同じでしたよね。でも、同じ場所に住んでいても、普段の行動も、災害への意識も、準備も違いますよね?そこで、私たちはスマートフォン位置情報を使って、日常の行動ログから一人ひとり異なる災害リスクを計算し、“あなたの災害リスク”を見える化してみました。行動ログから、あなたの災害への備えを見直してみませんか?
ミクロの世界をつかさどる量子論は、この世界を記述するために欠かせない基本理論です。量子コンピュータは、その量子論を積極的に計算に応用することにより、従来のコンピュータにはなかった計算能力を獲得することを目指します。私はそんな量子コンピュータのためのアルゴリズム/ソフトウェアを研究者しています。本講演では、量子論の基本的な概念と量子コンピュータの原理をわかりやすく説明したあと、量子コンピュータをもっとパワフルにするための研究について紹介します。
ピラミッドやヒエログリフなどに数々のミステリーを残す古代エジプト。その解明に、最新の情報処理技術が活用されています。フォトグラメトリや3Dスキャンによる遺跡の完全記録、マルチスペクトルイメージングや高度な画像処理技術による消された文字の解析、AIや機械学習を使った古代エジプトの文字資料の分析など、テクノロジーはエジプト学の可能性を大きく広げています。エジプト学者で情報処理学会でも研究発表を行う宮川創が、最新技術を駆使した古代エジプト研究の最前線をお伝えします。
ビットコインが登場して以来、その根幹を成すブロックチェーンはいまや電子的な通貨だけではなく様々なコンテンツやアプリケーションも暗号資産として提供するようになりました。一方で、これらの暗号資産を巡って様々なサイバー攻撃も発生しており、新たな脅威の切り口としても利用されつつあります。本講演では暗号資産を巡るこれらの攻撃と対策について紹介します。
操作ミスの多いウェブページは使うのを避けがちになりますし、サービスを提供する側から見てもユーザが離れる要因となるため、できるだけ使いやすいページデザインにするのが双方にとって重要です。そのためには、人間がどのようにスマホ画面を操作するかを深く理解して、操作ミスが発生しそうな部分を特定・修正する必要があります。本講演では、ウェブページを自動的に分析してタップ操作成功確率を推定するツール「Tappy」を紹介します。さらに、このツールの数理的な背景となっている研究成果についても解説します。
募集中(下記参照)
IPSJ-ONEは、日々蓄積される学術の知見を社会の発展に活かしておられ、かつイベント趣旨にご賛同いただいている企業・団体・個人の皆様のご協賛に支えられ、多くの参加者に情報科学の最先端研究を届けることができています。ご協賛下さった皆様に対しましては、単にイベントに対して出資したというアピールに留まらず、高校生や大学生、大学院生および一般の方々に対し、企業・団体・個人としての知られざる側面を知ってもらえる、注目してもらえるような場を提供したいと考えています。ぜひ協賛をご検討いただけますと幸いです。
協賛プログラムの詳細については、下記の資料をご参照ください。
スポンサープログラムのご案内(PDF・約1.0MB)
スポンサー申し込み・お問い合わせは下記フォームからお願いします。
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IPSJ-ONEでは、中学・高校・大学生をはじめとする幅広い視聴者に情報科学研究の面白さを伝えることができるイベントを目指しています。IPSJ-ONE2025における講演募集のポイントとして、新たに以下の仕組みを導入します。
講演募集の案内(PDF・約300kB)過去のIPSJ-ONEでは各研究会からの他薦により登壇者が決定されていましたが、今年度は登壇希望者の自薦を一部反映した募集を行います。まず、登壇希望者には、以下の自薦フォームから「氏名」「所属」「メールアドレス」「推薦されたい研究会」を提出していただきます。その後、各研究会に登壇希望者のリストが共有され、推薦候補者として議論が行われます。最終的に、各研究会から推薦を受けた方にIPSJ-ONE運営委員会から発表の依頼を行います。
情報科学の分野に限らず、多様な価値観を持つ人が研究に携わることで新たなイノベーションが生まれることが期待されています。本イベント開催の趣旨に照らし、IPSJ-ONE 2025では「ダイバーシティ/多様性」を重視した推薦方式を新たに導入します。ダイバーシティの観点には様々な側面がありますが、特に理工系分野では性別の偏りが大きいことから、今回はジェンダーバランスを積極的に解消する仕組みを取り入れます。 具体的には、各研究会からの推薦時に最大で2名(男性1名・女性1名)の推薦を受け付けます。各研究会からの推薦に基づき、IPSJ-ONE運営委員会にて審査を行います。審査にあたっては、視聴者が幅広い分野の講演を聴講できるように、講演予定の研究内容のバランスを考慮した選定を行います。採択者にはIPSJ-ONE運営委員会から講演依頼を行います。
若手研究者の中にはお子さんがいるため、発表したいが現地登壇が難しいと考える方がいるかも知れません。 そこで、IPSJ-ONE 2025では学会会場に「出張託児所」を開設し、お子さんも一緒に情報処理学会全国大会に参加いただけるようにサポートします。
その他にもリクエストがございましたら、事前にご相談下さい。 全てのご要望を叶えることは難しいかもしれませんが、前向きに検討させていただきます。
推薦・審査フローは以下のとおりです。 情報処理学会各研究会からの推薦形式は引き続き採用しますが、上記のポイントが新たに盛り込まれ、2段階の締切が設定されていますのでご注意下さい。
(1)自薦フェーズ: 自薦したいと考える研究者の皆様は5/31(金)の1次締切までに自薦フォームから応募をお願いいたします。 自薦フォームの内容は「メールアドレス」「氏名」「所属」「推薦を受けたい研究会名」の4点のみです。
(2)研究会推薦フェーズ: IPSJ-ONE運営委員会より、自薦フォームへの応募結果を対応する研究会に共有します。 その後、各研究会の運営委員会や主査によって候補者を検討していただきます。 推薦対象者の内諾を得た上で、9/30(月)の2次締切までに研究会推薦フォームから応募をお願いいたします。
締め切りました
IPSJ-ONEにご興味を持っていただきありがとうございます。
取材のお申し込みやご質問は info@ipsj-one.org までお願いします。
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