- 音楽情報科学研究会推薦
- 森勢 将雅
- 山梨大学 大学院総合研究部 特任助教
- 「感動的な歌声」の可能性
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感動的な歌声の研究は難しい.上手い歌手の歌声は人を感動させ,下手な歌声は誰でも下手だと判断できる.動画共有サイトでは,明らかに合成音と知覚される歌唱でも,一部は感動的と評価されている.これらの事実は,人間の歌声であることは感動的な歌声の絶対条件ではなく,合成歌唱は合成歌唱の中で聴取者を感動させる「何か」があることを示唆する.感動的な歌声の合成は,人間の模倣ではなく感動させる「何か」を追求する困難な課題設定である.講演者は,技術開発者・楽曲制作者・聴取者を対象に,感動的な歌声の条件について調査・研究を行ってきた.本講演では,一連の活動内容について述べ,感動的な歌声の合成に挑戦する研究を紹介する.
- グラフィクスとCAD研究会推薦
- 楽 詠灝
- Columbia University Computer Science Department
Postdoctoral Research Scientist
- コンピュータと物理をより近くに
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実世界の物体の挙動は物理則によって支配されています.こうした挙動は複雑で,しばしば人間にとって理解・制御することが容易ではありません.コンピュータで物理現象や物理制約を賢く扱えるようになると,
1)複雑な物理的挙動の予測,2)複雑な物理制約を満たす機能的人工物の設計,3)物理的タスクを実行できる賢いロボットの開発ができるようになります.本講演では,これらの研究を紹介します.
- アルゴリズム研究会推薦
- 河村 彰星
- 東京大学
総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系
講師
- ランダムとは何か
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乱数は色々な計算に使われるが、実際に用いるのは何らかの規則で作られた擬似乱数でしかない。真にランダムな乱数など作れるのか、というのは難しい問だが、計算理論では「作れるか」を問うよりも、まずは「使う」側の立場でランダム性を説明した。つまりランダムさとは「先を予測できない」「特徴を見破れない」という概念なのだから、誰にとってそうなのかという観察者の情報処理能力(例えば計算時間の制約)を想定して初めて意味をなすというのである。この「計算」と「ランダム」の関係を様々な捉え方で分析する研究の一端を紹介する。
- ユビキタスコンピューティングシステム研究会推薦
- 玉城 絵美
- H2L, Inc. 創業者
JST さきがけ 研究員
早稲田大学 人間科学学術院 助教
- 身体の共有
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本講演では,手の動作を共有する装置UnlimitedHandの応用開発と研究の一つを紹介します.SNSや動画配信サイトでは,多数の体験の情報が共有されています.しかし,動画と言語による共有が主になっているため,実際に体験した投稿者本人のみが楽しく,同じ体験ができない閲覧者によっては羨ましさから精神的な負担になる場合もあります.つまり,投稿者にその意図がなくとも,SNSや動画配信サイトは,幸せやリア充であることのアピールの場になってしまうことがあります.そこで,HMDとUnlimitedHandを用いることによって,視覚,聴覚と手の身体感覚の情報,つまり身体の出来るかぎりの情報を共有し,閲覧者が出来るだけ投稿者に近い身体の体験をする応用開発と研究が進められています.この応用開発と研究により閲覧者も幸せやリア充になった風になり,精神的な負担を軽減するかもしれません.※もしかしたら余計に精神的な負担になるかもしれません.
- 自然言語処理研究会推薦
- Graham Neubig
- 奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科 助教
- プログラムを説明するプログラム
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プログラミングは難しい。その理由の一つとして、プログラミング言語(CやPythonなど)が分からなければ、プログラムを見てもその動きが分からないことが挙げられる。例えば、「if x % 2 == 0」は「もしxが偶数であれば」という意味だが、必ずしもプログラミング初心者にはこれが分かるとは限らない。この問題を解決するために、我々はプログラムから、コードの意味を言葉で説明する文を自動生成する研究に取り組んでいる。具体的には、プログラムとそれを説明する文章から、統計モデルを学習する枠組みで、データさえあればどのプログラミング言語でも説明できるようにする手法である。本発表では、このような「プログラムを説明するプログラム」について紹介する。
- 人文科学とコンピュータ研究会推薦
- 後藤 真
- 国立歴史民俗博物館 研究部 准教授
- 歴史学の情報~Part2~人文科学者が行う情報処理~
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「歴史学にはどのような情報が存在しているのか、それらはなぜ歴史学では必要とされているのか、1つの歴史資料からどのような情報が生成されるか」前回、ある講演者が話をした。歴史の一つのことを解き明かすには、大量の情報をつなぎ合わせて、分析・処理している。そのつなぐ・分析するという部分に、情報技術が多く入り込んできている。今回は、人文科学側の研究者が情報処理学会で培った研究を活かし、人文科学の方法論を定式化して情報技術で処理していく、その方法を具体的な史料を示しながら見せていきたい。
- データベースシステム研究会推薦
- 加藤 誠
- 京都大学 大学院情報学研究科 特定助教
- アナロジーによる検索
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「AppleのiPodはMicrosoftの何に当たるか」,「京都の和食屋『おぐらや』は東京のどの店に当たるか」,「X JAPANと宇多田ヒカルを足して2で割ったような歌手は誰か」.これらの疑問に答えることのできるアナロジーによる検索システムについて紹介します.アナロジーによる検索では,ユーザが既知の分野からいくつかの要素を選択することによって,未知の分野における情報を検索できるようになります.このような検索を実現するための要素技術として,Webマイニング,トピックモデル,Wikipedia解析,転移学習など基づく手法を簡単に説明し,特に飲食店のアナロジーによる検索のために実施した実験の結果をご紹介します.
- コンシューマ・デバイス&システム研究会推薦
- 望月 理香
- 日本電信電話株式会社
サービスエボリューション研究所 研究員
- 「要は何?」:ユーザ特性に合わせた
わかりやすい情報提示技術
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相手にわかりやすく物事を説明したい時、その相手にとって最もわかりやすい表現で、なるべく端的に言い表したいと思うことがあります。
本研究では、このように、その人の感性や属性、状況などに合わせて情報をわかりやすく補足する技術によって、情報の理解を促進したり、人と人とのコミュニケーションをサポートすることを目指しています。具体的には、ライフログを活用した事物の『たとえ』による表現方式、異なるバックグラウンドのユーザ間の共感創出を目指す感性コミュニケーション技術、シンプルに物事を説明する『要するに何?』提示方式などの取り組みについてご紹介します。
- マルチメディア通信と分散処理研究会推薦
- 内山 彰
- 大阪大学 大学院情報科学研究科 助教
- 情報技術でスポーツを支援する
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Apple Watch, Fitbit, SmartBand—ヘルスケアやスポーツにIT技術を応用する機運が世界的に高まっています。これらのウェアラブルデバイスやカメラなど、 様々なセンサを活用してスポーツ選手の競技力向上、障害予防、競技への復帰を支援し、ひいてはメダルを増やすことができないでしょうか?その第一歩として、私はウェアラブルセンサや環境センサから得られる情報を組み合わせて身体深部の体温を推定する方法を考案しました。そして、これをきっかけに関わることになった、工学、スポーツ医学などの様々な分野連携によるスポーツ支援研究プロジェクトを紹介します。
- システム・アーキテクチャ研究会推薦
- 三輪 忍
- 電気通信大学 大学院情報システム学研究科 准教授
- ハードウェアを増やしてコンピュータを省エネに
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これまでのコンピュータ・システム設計には厳しいハードウェア資源制約が課せられていたことから,任意の処理を高いエネルギー効率で実行する,万能型のハードウェアを開発する方向で汎用コンピュータは進化してきた.しかし,数年後には,LSI製造技術の進歩によって資源制約が現在の数分の1にまで緩くなり,その結果,エネルギー制約が相対的に厳しくなると予想されている.このような緩い資源制約のもとで省エネルギーなコンピュータを実現する方法として,講演者は,特定の処理に特化したハードウェアを組み合わせてシステムを設計し,システムに搭載された複数ハードウェアをアプリケーションの実行中に切り替えながら処理する方法を研究している.本講演では,上記の研究内容を非専門家にわかりやすく解説する.
- システムとLSIの設計技術研究会推薦
- 高瀬 英希
- 京都大学 大学院情報学研究科 助教
- 「第3のコンピュータ」をソフトウェア志向で使いこなす
システム設計環境SWORDSフレームワーク
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高度情報化が進む我々の生活を支えるコンピューティングデバイスとして,従来のプロセッサやASIC(特定用途向けハードウェア)に次ぐ「第3のコンピュータ」であるFPGAの活用が進んでいる.FPGAはハードウェア設計言語によって任意の論理機能が実現できる再構成可能デバイスであり,性能や電力効率の面で利点がある.近年では,プロセッサとFPGAを1チップに集積したプログラマブルSoCと呼ばれるデバイスも注目されている.
講演者は,組込みリアルタイムシステムの効率的な設計を支援するSWORDS(SoftWare ORiented Design & Synthesis)フレームワークの開発を進めている.プログラマブルSoCを採用するシステムの設計者は,本フレームワークへの入力として,ソフトウェア向けのプログラミング言語によって記述されたシステム設計と構成情報を与える.ソフトウェアの機能の一部は,与えられた構成情報に応じて切り分けられ, FPGA部分で実行可能なハードウェアモジュールとして合成される.さらに,プロセッサ−FPGA間の通信を担うインタフェースモジュールも自動的に生成される.研究成果は,設計生産性の向上に寄与するだけでなく,FPGAの利点を活かした情報システムの高品質化にも貢献する.
- ヒューマンコンピュータインタラクション研究会推薦
- 加藤 淳
- 産業技術総合研究所 情報技術研究部門
メディアインタラクション研究グループ 研究員
- コンピュータを変幻自在の道具にするための
プログラミング環境技術
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スマートフォンなどの普及に伴い,コンピュータは誰にとっても欠かせないものとなりました.そんなコンピュータを思い通りに動かして,変幻自在の道具にできる手段が「プログラミング」で,今や現代人の教養と言われるほど注目されています.本講演では,プログラミングのために利用される統合開発環境(IDE)が,作りたいプログラムに応じて様々なユーザインタフェースを必要とすることを示します.ロボットの制御(Picode)や,画像処理(DejaVu),果ては楽曲動画制作(TextAlive)やIoTデバイス開発(f3.js)まで,私が研究開発してきたIDEを紹介し,プログラミングの未来について考えます.変幻自在の道具を作れる道具もまた,変幻自在なのです.
- システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会推薦
- 品川 高廣
- 東京大学 情報基盤センター情報メディア教育研究部門 准教授
- BitVisor: OSを手玉に取る仮想化ソフトウェア
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近年のPCやMacでは、OSとしてWindowsやOS Xなど欧米勢が作った非常に巨大で複雑なソフトウェアが使われています。これらは複雑すぎてセキュリティの維持が困難になっているほか、中身をいじって新しい機能を追加することが容易ではありません。BitVisorは、OSとハードウェアの間に入り込んでセキュリティやシステム管理など新しい機能を追加できる国産のオープンソース仮想化ソフトウェアです。準パススルー型という新しいアーキテクチャを研究開発することにより、小型軽量化と高機能化を両立させ、高いセキュリティや開発効率の向上、WindowsやOS Xが安定動作する高い実用性を実現します。
- インターネットと運用技術研究会推薦
- 松本 亮介
- GMOペパボ株式会社 技術部技術基盤チーム
シニア・プリンシパルエンジニア
- 人工知能はWEBサーバーの暗闇を救う
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Webサービスの高度化に伴い、システムは複雑になり運用コストが増加している。そのため、今後、人の手を介さずにWebサービスを人工知能のアプローチによって自動制御したいという要求がある。それによって、究極的に人々はシステムの管理から開放され、技術革新に向けたアイデアを考えるための時間が増えたり、自分の時間や家族と過ごす時間が増えることでストレスが減少し、さらに過ごしやすい世界を支えるWebサービス技術発展に寄与できる。Webサービスを支えるサーバ設定のプログラミング言語化や、動的なリソース制御といった我々の研究の最新情報を紹介する。
- グループウェアとネットワークサービス研究会推薦
- 宮田 章裕
- NTTレゾナント株式会社 スマートナビゲーション事業部 主査
- 人にやさしいコンピュータを創る
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人がコンピュータを使いこなせない場合、人が悪いのではなくコンピュータのデザインが未熟であるという信念のもとで取り組んできた「人にやさしいコンピュータ」を2件紹介する。1つ目は、教科書をスマートフォンで撮影すると、映像教材が閲覧できるシステム「Kappan」である。上手く撮影できない子どもでも使えるよう、撮影状態が悪くても100万ページから1ページを特定できるロバスト性を実現している。QRコード等が印刷されていない既存書籍に使える点も大きな特徴である。2つ目は、貼り付けるだけで家具をインテリジェントにする「xSeal」である。このデバイスを貼り付けると、出かけるときに午後の天気を教えてくれるドアや、薬の飲み忘れを教えてくれる薬箱等を容易に実現できる。コンピュータを操作することなく、日常生活を送るだけでICTのメリットを享受できる、人にやさしいデザインである。
- コンピュータセキュリティ研究会推薦
- 濱田 浩気
- 日本電信電話株式会社
NTTセキュアプラットフォーム研究所 研究員
- パーソナルデータの安全な利活用を支える
プライバシー保護技術
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近年個人に関する情報,いわゆる「パーソナルデータ」の活用が盛んになってきています.活用の対象となるパーソナルデータは,より個人のプライバシーに関わる情報へと拡大しており,これまでよりも有益な知見の獲得が期待される一方で,プライバシー侵害への懸念が大きくなってきています.本発表では,この懸念を解消して安全なデータ活用を実現する「プライバシー保護技術」の中から,データからプライバシー侵害につながる情報を削減する「匿名化技術」と,データを誰一人見ないまま処理することでプライバシーを守る「秘密計算技術」を紹介します.
- バイオ情報学研究会推薦
- 清水 佳奈
- 産業技術総合研究所
創薬基盤研究部門 主任研究員
- 秘匿ゲノム検索
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近年,ゲノム配列を決定する技術が大幅に向上し,個人のゲノムデータを低コストで取得することが可能になった.個人ゲノムの情報解析は医学,生物学における様々な問題の解決に役立つと期待されているが,現状ではプライバシ保護の問題があるため,各研究拠点で収集したデータを流通させることが難しく,潜在的には豊富に存在するデータを十分に活用できない問題がある.本講演では,我々がこれまでに開発を進めてきた,ゲノムデータの中身を秘匿したまま情報検索を行う「秘匿ゲノム検索」を概説する.また,秘匿ゲノム検索をゲノムバンクで応用するための取り組みについても紹介する.
- エンタテインメントコンピューティング研究会推薦
- 栗原 一貴
- 津田塾大学 情報科学科 准教授
- 想定外のエンタテインメントを「発掘」する
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エンタテインメントというと、クリエータが「作る」ことなしには始まらない、とお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし既に莫大な情報にあふれた現代では、意外なところから新しいエンタテインメントを「発掘」することもできるのです。本発表ではそんな事例として、画像認識技術を用いてNASAの公開している地球外天体の衛星写真から人の顔に見える地形を自動的に探すプロジェクトの成果や、テトリスで遊ぶだけで3Dプリンタで印刷するための三次元モデルのデザインが行えるツールの紹介をします。
- モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム研究会推薦
- 荒川 豊
- 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 准教授
- コンピュータに気持ちよく操られる社会へ向けて
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情報技術の進展により,人の行動をセンシングしたり,推定する研究が盛んに行われ,状況に応じて適切なサービスが提供される便利な社会が現実のものとなりつつある.しかし,この先はどうなるのであろうか?本発表では,この人と情報技術の連携が成熟した先にあるべき未来の「社会」に関して,これから始まる研究について紹介する.具体的には,人間の行動を情報技術によって変化させ,変化によって生み出されるエネルギーを社会の維持と発展の原動力にするというものである.いかにして行動を変化させ,その行動の変化をどう活かすのか,未知なるシンギュラリティの世界はもう間近です.